イベント/レポート

【ファンファン倶楽部第4期】シーズン1- ①「mi-ri meterさんとファンファンする準備運動」

「安心して”もやもや”しよう」を合言葉に、「ファンタジア!ファンタジア!ー生き方がかたちになったまち」(以下、ファンファン)の考える「創造力」を体現し、ファンファンのコンセプトを共有するコミュニティづくりを目指す企画『ファンファン倶楽部』。
第4期となる今回は、活動期間を3つのシーズンにわけ、徐々に「もやもやを安全に扱う技術」を探っていきます。各シーズンの初回に「もやもやを安全に扱う技術」のヒントを持つ方を、ゲスト(通称「ファンファン先輩」)としてお招きし、「ファンファン先輩」とのワークやディスカッションを受けて、その後の活動で部員それぞれが自分なりの「もやもやを安全に扱う技術」について考えていきます。

7月17日(日)の活動からシーズン1「ファンファンする準備運動」が始まりました。シーズン1のファンファン先輩は、アーティスト・建築家のmi-ri meterさんです。リサーチやワークショップなど日常の観察を通して、空間や社会のさまざまな規範を解きほぐしながら、一人一人が都市に関われる「視点」や「空間」を提示する活動をされています。今回、部員たちが「もやもやを安全に扱う技術」を探すには、まずは自分自身の落ち着く場所が必要ではないかと考え、実際に墨田のまちに出て体を動かしてみようとmi-ri meterさんをお招きしました。

mi-ri meterの笠置さん

レクチャー

まずはmi-ri meterさんのレクチャーからスタート。
「今日はまち歩きをします。でも、普通のまち歩きとは違ってワークショップ的な歩き方をします。(ヴァルター・ベンヤミンの考えを参考に)道に迷うことは結構大変です。僕たちは、まちを使う時に、家と会社、家と買い物とか、用途や目的があって行動していますね。そういう中で迷うことは結構難しいです。ファンファン倶楽部のテーマにもある『もやもや』することと迷うことは似ていると思って、今日はなるべくこの周辺を迷えるように歩けるといいと思います。」と笠置さん。

そして、そもそもワークショップとは何か、現代美術の文脈で都市の中で行なわれてきたワークショップの事例や、今回簡易版として行なうワークショップ「URBANING_U」についてお話がありました。「URBANING_U」では、mi-ri meterさんから出されるお題に参加者が応えながら、都市との距離が近づいたり、都市に対するリテラシーを醸成するねらいがあります。

レクチャーを聞く部員たち

ワーク①「普段登らない場所に登りなさい。」「普段通らない場所を通りなさい。」

レクチャーのあとはワークにうつります。mi-ri meterさんから封筒が部員それぞれに配布されました。
封筒の窓には、開封する日付と時間が書いてあります。
「2022.07.17  10:30」と書かれた封筒を開けると…

中にお題の書かれたワークシートが入っています!

最初のお題は、「普段登らない場所に登りなさい」「普段通らない場所を通りなさい」。
お題を見て、部員たちは少しドキドキした面持ちです。

早速、藝とスタジオから出発!

じんわり暑い天気。熱中症対策をしっかり行いました。

最初はmi-ri meterさんとみんなで一緒に歩き、どのようにまちを歩くのかを体験します。

普段登らないアパートの階段を登ってみる。
普段通らない建物と建物の間を通ってみる。

先頭を歩き、淡々と気になった小道を進んでいくmi-ri meterさんの後を追いかけながら、部員たちは徐々にまちを歩く感覚をつかんだ様子。

ここからは個人でワークを行います。それぞれ行った場所の写真を撮り、グループLINEで共有することにしました。

個人ワーク中の部員。墨田らしさのある小道に入っていきました。

時間になり、一旦藝とスタジオに戻ってきました。20分ほどで、それぞれが撮影した写真を見ながら、歩いてみた感想やなぜそこに登ってみたのかを共有しました。

↓部員たちが歩いた場所の写真はこちら↓

左:普段通らない小道を通ってみる。右:普段登らない場所に登る。

ワーク②「あなたの定点を決めなさい。」

次のお題は「あなたの定点を決めなさい。」。

「ワーク①でまちを歩いてみて、自分の中でしっくりくる場所や落ち着ける場所はありましたか?もう一度、まちを歩きながら『自分の居場所になりうる場所』を見つけて5分くつろいでみてください。そして、なぜそこが自分の定点になったのか考えてみてください。」と笠置さん。

藝とスタジオを出て、部員それぞれ定点を探しに出かけます。

定点を見つけに出発!

どこを定点にしようか、探し中。
「ここ、いいかも」と、藝とスタジオから10分ほど歩き続けた先で、定点を見つけた部員。
座ってまちの様子を観察しながら、しばらくくつろぐ

藝とスタジオに戻って、振り返り

暑い中歩いてきた部員たち。お茶を飲んで一息つきながら、それぞれ歩いた場所や決めてきた定点の写真を見ながら、体験を共有します。

コインランドリー前のベンチを定点に選んだ部員は「自然にまちに溶け込める場所を探し」、この場所が落ち着けると思ったようです。また「周辺にベンチが少ないことに気づきました。」とのこと。
mi-ri meterさんからは「隣の古い建物に比べて、この建物はセットバック(土地の境界線から一定の間隔を確保し、建物を建てること)しているようですね。だからこそベンチを置ける空間がある。そして、風景に溶け込むというのは結構みなさん考えると思います。人の目を気にすることは、意外と公共空間の中での自分の行動を規制していることですよね。」とのコメントが。

自動販売機、ゴミ箱、ベンチが揃ったホスピタリティーたっぷりのコインランドリー前。

路地園芸がある路地を選んだ部員は、このまちの人が園芸を楽しんでいる様子を感じて、ここを選んだそうです。

色々な素材を使って独自に作り上げられた路地園芸の棚。他の部員たちも「この棚も何を使って作られているのか…」と気になっていました。

民家の脇を選んだ部員は「木陰になっていて涼しく、鳥の声も聞こえました」とのこと。
mi-ri meterさんからは「四角い建物に対して道が斜めっているので、このような三角の土地ができるんですよね。道がグリッド状でないこの地域だからこその特徴ですね。」と墨東エリアの道の特徴に着目したコメントがありました。

最後にmi-ri meterさんから、「すみだの街を歩いて、今後新たに作ることが難しそうな細い道がどうやって形成されたのかなど興味が湧きました。また意外と等高線になるかならないかくらいの傾斜を感じたのも発見でした。次回は微細な地形なども気にしながら歩いてみてください。今日はみなさん、まちのポテンシャルを見つけられて素晴らしかったです。」とコメントをいただいて今日の活動は終了。

この日の部員たちの「看察シート」には、
「まち歩き楽しい」「だんだん町になじんできた感じ」「どうしてこのような街が形成されたのか、疑問や不思議がたくさん残った。」「面白い発見もありつつ、自分がまちあるきのプロに一歩近づいた気がする」
といった気持ちが記録されました。

今回は、『ファンファン倶楽部』として初めてゲスト(ファンファン先輩)を招いて行い、第4期の活動がいよいよ本格的に始まった!という高揚感がありました。部員たちが自らまちに迷い込んでみることで普段とは違った視点でまちを歩き、まちの中で馴染める場所を見つけ始めた様子を見て、未知なるものへの創造力をかき立てる「ファンファン」する感覚を知る第一歩になっていたように思いました。

執筆:磯野玲奈

ゲスト

mi-ri meter(アーティスト/建築家)
2000年、宮口明子と笠置秀紀によりミリメーターとして活動を開始。日常を丹念に観察し、空間と社会の様々な規範を解きほぐしながら、一人ひとりが都市に関われる「視点」や「空間」を提示しいている。2014年 株式会社小さな都市計画を設立。主なプロジェクトに「URBANING_U」がある。 http://mi-ri.com/

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