藝術耕作所 レポート第三弾「ろうけつ染」

藝術耕作所 レポート第三弾「ろうけつ染」

プラクティス

これまでのプログラムから得た気づきを元に、墨東エリアの中で具体的なアクションへつなげていくプログラム「プラクティス」。その中の「藝術耕作所」では農業、染色、DIYなどの体験から技術を通して協働を考えていきます。

ミーティングを重ねるなかで、協働作業を通した交流について話し合ってきました。それを体現するもののひとつとして、藍染の技法を用いて墨田区の「たもんじ交流農園」や「kisoba」、「ファンファン」と、それから佐藤さんが地域おこし協力隊の活動をしている福島県大玉村をつなぐアイテムとして、旗やのれんを作ることになりました。

今回のレポートでは、その第1ステップとして、2020年1月11日(土)に行われたろうけつ染とガムテープ染の様子をお届けします。

蜜蝋をつくり、絵を描いてみる。1回目。

ろうけつ染は、あらかじめ布に蝋を塗っておくことで部分的に染色液が布自体に触れず、後程蝋を落とすと、白抜きの模様を作ることができる技法です。今回は、蜜蝋を使って絵や文字を描く作業をしました。

この日使用する蜜蝋は、佐藤さんが福島から持って来てくれるということになっていました。東京の藝術耕作所のメンバーが「蜜蝋って、ろうそくのかけらみたいな、つぶつぶの蝋の塊を溶かして使うんだよね?」などとお喋りしているところに佐藤さんが大荷物を持って到着。その手に持っていたのは、なんと蜂の巣が入ったバケツでした。これにはメンバーも驚き。「えっ!蜜蝋ってこの状態から取るの!?」

驚き冷めやらぬうちに、早速蜂の巣を湯せんにかけます。数分で蜂の巣が溶け始めてトロトロとした蜜が出て来ました。部屋には甘〜い香りが立ちこめます。蜜の中に不純物(ハチの死骸なども!)が多く含まれていたため、急遽ザルを購入して来て漉すことになりました。ほとんどのメンバーがろうけつ染の初心者なので、手探り状態です。

蜂の巣をボウルに入れて湯せんしているところ。
ザルと刷毛を使って漉している様子。ボウルに入っている液体が蜜蝋。

いよいよ用意していた白い布に蜜蝋で「農」や「畑」をイメージした絵を描き始めます。

ここで佐藤さんから「大きいモチーフを描くと、藍染をした後に白い色が映えますよ。」と、アドバイスがありました。その佐藤さんは巨大なミミズを描いています。それを聞いた他のメンバーも大根、ほうれん草、てんとう虫などを思い思いに描いていきます。

みんなで1つの布を囲んで、自由に絵を描きました

蜜蝋をつくり、絵を描いてみる。試行錯誤の2回目。

蜜蝋が少なくなったので、再度蜜蝋を溶かすことに。

1回目と同じ方法で溶かし何度か漉したところで、佐藤さんからのアイディアをもとに、蝋の中に水を足してみることにしました。すると、不純物と蝋の部分が分かれ、表面に純度の高い蜜蝋が浮かび始めたのでした。常に、試行錯誤の連続です。

この蜜蝋は純度が高い分冷めるとすぐに固まってしまうため、参加者の皆さんは刷毛に蜜蝋をつけたら素早く絵を描くコツを掴んだ様子でした。そうしていくうちに、頭で考えるより早く手が動くようになりました。

純度が高い、きれいな蜜蝋を取り出している様子。

身近なもので挑戦!ガムテープを使って文字をかく。

ろうを使った技法の後は、身近な素材をつかった方法に挑戦。藝術耕作所メンバーがガムテープ染と呼ぶこの方法は、ろうけつ染と同様の要領で、布の裏表にガムテープを貼り、染色液に触れない部分をつくることで白抜きの部分を作ります。これは絵よりも文字を書くのに適しています。そこで「たもんじ交流農園」「kisoba」「ファンファン」を象徴する旗やのれんを作るべく、それぞれの名前などの文字を書きました。

たもんじ交流農園の牛久さんは「農園」の文字の画数が多すぎて苦戦している様子。他メンバーも手伝い、なんとか文字が完成できました。

これはファンファン倶楽部用の旗。

これらののぼりはそれぞれの場所をつなぐコミュニティの象徴になるでしょう。
次回は、2月に有志のメンバーで福島県大玉村を訪れて藍染をします。ろうけつ染とガムテープ染が染めあがると、それぞれどのような味を出すのかや、地元の方々との交流など、期待が膨らみます。

text by 磯野玲奈

イベント概要

藝術耕作所 ろうけつ染とガムテープ染
日時:2020年1月11日(土) 13:00〜16:00
会場:kisoba