イベント/レポート

【プラクティス】トナリのアトリエ編集後記〜前編〜

前回の「【プラクティス】生きることと文化が交差する場所〜興望館との出会い〜」でご紹介した通り、今年度のプラクティスでは、アーティストの碓井ゆいさんをパートナーに迎え、設立以来100年以上に渡りセツルメント活動を続ける社会福祉法人興望館と協働して、興望館の学童に通う子供達を対象としたワークショップ「トナリのアトリエ」を開催しました。

「トナリのアトリエ」は11月17日から12月7日までに全6回開催し、その中で子供達が思い思いに描いた絵や絵日記などを、1回ごとに1冊の本にまとめました。

本にはファンファン事務局のスタッフが子供達の制作の様子をまとめた編集後記を添えて、子供達や保護者さんに配布しました。今回は、その編集後記をご紹介します。編集後記を通して「トナリのアトリエ」の雰囲気を感じていただけたらと思います。

11月17日(水)

 アーティスト碓井ゆいさんの、学童に通う子たちを対象としたワークショップが興望館で始まり、初日は一年生から四年生までの女の子たち十五名ほどが参加してくれました。子供達がワークショップに参加する際、切り抜いたフェルトにそれぞれの名前を書いて洋服に貼ってもらおうとすると、頭やおでこに貼って笑いあう姿がとても可愛く、制作を始める前から子供達の遊び心に心を掴まれました。
 最初は何を書いたらいいのかと戸惑っていましたが、一人が描き出すと、動物や果物、自作の物語のほか、興望館での思い出を話しながら描いてくれました。
 小学一年生の子たちは、すきな動物の絵を何枚も描きながら、お遊戯会で発表する予定の長ゼリフを聞かせてくれました。合唱のように重なった声が部屋に響き、学芸会をとても楽しみにしている様子が伺えました。
 四年生の子たちは興望館で毎年行われているキャンプの様子を絵にしてくれました。マスキングテープの上に絵を描いたり、テープを重ねて貼ったり、一枚ずつ丁寧に制作していました。制作をしながら、キャンプではキャンプファイヤーをしたり、マシュマロを焼いたりしたと教えてくれました。描いてくれた子たちは普段から家族でアウトドアもするということで、興望館のキャンプはバンガロー泊だけど、絵の中ではテントを書いていて、興望館と家族のキャンプが混ざったような絵が出来上がりました。
 子供達が制作をした机には、子供達に昔の興望館の様子を知ってもらうため、興望館に保存されている設立当初からの写真資料を入れてあります。様子を見に来た学童のスタッフの方たちが、演劇の写真を見て「なんの劇やってるのかな。あ!1、2、3、4…!狼と七匹の子山羊!やっぱりこれはいつの時代も定番なんだね。」と写真をの様子も子供達に伝えてくれていました。
 みんなピアノなどの習い事や、おやつを食べに一旦部屋を出た後また戻ってきて、「今日は餅だった!」と言いながら、楽しそうに何枚も描いてくれました。
 興望館に0歳から通っていることや、同じ小学校に通っていることを教えてくれた子もいました。色々なタイミングで興望館に関わり始め、学童のスタッフなど、学校とはまた違う大人たちとの関わりやコミュニティーがここで生まれていることを感じました。次回以降も、興望館での思い出や好きなことをたくさん聞きながら、楽しく参加してもらえたらと思います。

ファンファン事務局 高村瑞世

11月19日(金)

 十一月十九日、興望館の学童に通う子供達を対象とした、碓井ゆいさんによるワークショップの二回目を開催しました。 
開始時間になると、前回参加してくれた子たちが「もう行ってもいいの!?」と体育館とワークショップを開催している部屋の出入口から顔を覗かせました。バタバタと走りながらワークショップの部屋に来て、楽しんでくれていたのだなと嬉しく感じました。 
 二十名以上の男女が参加してくれ、用意してあった机では場所が足りず、カウンターも使用して制作をしました。前回参加してくれた子達は、「フェルトをこういう風に切りたいんだけど」とか「黒いクレヨンない?」と聞きながら、積極的に制作を進めてくれました。新しいお友達を連れてきて、やり方も教えてくれていました。 今回は「好きなおやつは?」など、碓井さんからの問いかけを書いた台紙も用意してあり、それを見てゼリーやアイスクリームを書いてくれた子もいました。 
 初めて参加してくれた子は「普段は本とか読んでるけど、久しぶりにお絵かきした!楽しい。」と言って集中して制作をしてくれました。
 たくさんの絵が出来上がり、出来上がった絵を貼っていた壁もいっぱいになりました。 

ファンファン事務局 高村瑞世

撮影:高田洋三

11月24日(水)

 碓井ゆいさんの興望館の学童の子供達を対象としたワークショップの三回目を開催しました。今回は館長が会場に訪れ、子供達の様子を見たり、机に差し込んである昔の興望館の写真資料について当時のお話を聞かせてくれたりしました。
 水着姿の男性が写っている写真を見て「これはプールだよ!昭和10年代。当時プールを持っていたのは、大型ホテルと◯◯(どこだったか失念してしまいました…。)と、興望館くらいだったんだよ!」「え!?なんで興望館がプールを持ってたかだって!?かくかくしかじか…」と、少年のような目の輝きで教えてくれました。これまで、写真資料に写っている子供たちが年を重ね、今も興望館に関わり活動を支えているということもあるんだよなということを、頭で理解していてもなんだか不思議で信じられない思いでいましたが、「◯◯先生がさ、プールの中を潜水してねえ〜。そのことは今もよーく覚えてるなあ。」という館長のお話を聞き、当時から現在までの時間や、関わってこられた多くの人の想いに、少しだけ触れられた気がしました。
 館長は子供達の制作の様子を見て、台紙を三枚以上使って長編の物語を描いていた子には「◯◯ちゃん小説家じゃない!」と呼びかけ、おばあちゃんの家に行った時のお話を書いてくれた子には「◯◯さんも描いてるの、なかなかやるじゃない、素敵じゃない!」と一人一人に嬉しそうに呼びかけてくれていました。
 今回も十五名以上の子供達が参加してくれました。碓井さんの用意した「将来の夢は?」という質問に答えて描いてくれたり、恐竜好きな子は、大昔のアメリカの海の中の絵を描いてくれたりしました。色々な路線の電車を描いてくれたり、午後三時から始めて五時近くまで長い時間をかけて描いてくれた子もいました。
 次回はワークショップも四回目となります。三ページ以上に渡る長編の物語を書いてくれた子たちの完成は、次回に持ち越しとなりました。「次はいつやるの?」と楽しみにしてくれている様子にとても嬉しくなりました。

ファンファン事務局 高村瑞世

撮影:高田洋三

ワークショップ「トナリのアトリエ」の前半3日間の様子をお伝えしました。後編へつづく!

後編はこちら