プラクティス

【スミログ】データをいかに使うか「あのイベントを語ろう」第4回レポート

「スミログ」は墨田区で行われていた様々な文化活動を対象に、地域の文化活動のアーカイブをつくることを試みるプログラム。記録集やアーカイブ映像、新聞やネットの記事に残るような明確で大きな出来事だけではなく、その周辺で発生していたイベント名もないような展示やワークショップ、パフォーマンスやパーティーなどのかすかな出来事の記憶も収集していきます。
ディスカッション「あのイベントを語ろう」では、地域の文化活動をどのようにアーカイブし、これからの活動に役立てることができるか、参加者の経験を持ち寄りながら考えていきます。

「2020年までのイベントを語ろう」

2021年11月20日(土)に、藝とスタジオにてディスカッション第4回「2020年までのイベントを語ろう」を開催しました。参加者はファンファンの過去のプログラム「ゆびのかたりて」「藝術耕作所」に関わってくださった方々や、墨田の文化活動のアーカイブに興味を持ってくださった方々でした。

今回も、ファンファン事務局のヨネザワエリカが自主的に集めてきた記録から2020年までのデータベースを眺めることから始まりました。
2015年〜2020年ごろには「硝子企画舎 プリズムプラス」の活動が始まったり、以前にファンファンが拠点としていたギャラリー兼レジデンス施設「sheepstudio」などが運営がされていた他、yahiro8でシリーズ開催されていたパフォーマンスイベント「藝とスープ」などが開催さたりしていました。また、大きな動きとしてはアートプロジェクト「隅田川 森羅万象 墨に夢」(通称:すみゆめ)や「39アート in 向島」「すみだ向島EXPO」が開催されました。
もちろん2020年はオンラインイベントが増えたことも記録から読みとれ、参加者からは「この先の数年間でオンラインイベントが残っていくのか、または減っていくのかが数字で見られたら面白いですね」といった感想がありました。

データベースを見ながらディスカッション

集めたデータを誰がどのように使うか

今回のディスカッションでは、前回の「データで遊ぶ」を経て「集めたデータを誰がどのように使うか」について話し合っていきます。
まず、参加者とファンファン事務局メンバーの9名が3チームに分かれて10分間のブレストを行い、このようなアイデアが出てきました。

●誰に使ってもらいたいか

近年、もともとこの地域を対象に研究をする学生は多かったものの、近年は墨田区に大学キャンパスもできたので「学生が論文を書く際に材料として使ってもらう」といった案や、以外と地域の人々はアートイベントが行われていることを知らないのではないか?という仮説から「データをまちの掲示板に貼り、まだアートに興味を持っていない地域の方々に自分のまちでどのようなことが行われてきたのかを見られるようにする」と広くイベントを知ってもらうためのツールとして使う案が出ました。
墨田活動するアーティストの方は「自分が年老いた時にこのデータを見て、当時を懐かしむために使いたい」と、自分自身が楽しく使う方法を考えてくださいました。

●他のデータと比較する・組み合わせる

さらに、全国各地でアートプロジェクトが行われている現状から、他地域でも私たちと同様に文化活動のデータについて考えたい人がいるかもしれないと「他の地域でも同様のデータを作成して、比較してみるのはどうか」と想像を膨らませます。
また、ディスカッション第3回のテーマ「データでいかに遊ぶか」の中でも話された不動産のデータと関連づけるアイデアとして「イベント開催場所の地図と地価のデータを組み合わせて、イベントが多い場所の地価を知る」というものが上がりました。これについてヨネザワから過去に実際にデータと地価と組み合わせる試みでは土地活用の視点から実現するのが困難だった経験が共有され、「イベント開催場所の地図と人流データを組み合わせて、まちに人が訪れた理由にイベントがあるのかは調べられそう」とアイデアがさらに発展しました。

●現状のデータに情報を追加して活用する

墨田で文化活動をしていると、他のアート関係者から『演劇をしたいんだけど、◯人くらいのお客さんが入れる場所はないかな?』というような相談を受けて困ることがあると話す方から、「場所と収容人数のデータを検索できるようにしたい」と課題を解決するためにデータを活用する方法が提案されました。

チームごとにアイデアを発表しました

改めて「データで遊ぶ」ことについて考える

各チームからの発表が終わり、ヨネザワから「場所のキャパシティなどの情報は、現状のデータベースには入っていません。こうしてデータを使うことを考えてみて、データに追加したい項目が出てきますね。」とコメントが。さらに「『使う』アイデアを出していただきましたが、案外、前回出されたアイデアと近いです。実は、前回は「データで遊ぶ」ことについて十分に考えられていなかったのかもしれません。じゃあ、「データで遊ぶ」ってどんなことなんでしょうか?」と参加者に問いかけます。
すると、参加者のひとりから「数年前に神戸アートビレッジセンターで開催された資料リサーチをもとにした展示『とりのゆめ/bird’s eye』を訪れました。そこに参加されていたアーティストの伊達伸明さんは調べることが楽しいというスタンスでやっているのが展示から伝わってきました。同じように、我々も研究者ではないから、調べたり集めたりするところが楽しいという姿勢がアーカイブを考えるときに重要だと思います。」とお話がありました。
これには、他の参加者のみなさんも「エリカさんも楽しんでいないと、ここまで大量のデータを集めてないですよね」と共感した様子でした。
そうして、ディスカッションを続ける中で真の「データで遊ぶ」アイデアが生まれて始めました!

「現状のデータベースはイベントについての表があるのみだけど、多少ビジュアルが残っているとイメージが湧くと思うので、チラシなどを展示しながらみんなで懐かしめると楽しそうじゃない?」

「その展示の時に、まだチラシが集まっていないイベントには「チラシがない」と書いておいて、それを見たチラシを持っている人が「自分が持っているよ」って持ってきてくれるかもしれないですね。」

「そのチラシの分類とかも、ワイワイ遊ぶようにできたらいいですね。例えば、チラシのスキャニングパーティーを開くとか。」

「100年経った記録は研究対象になるけれど、20年前くらいだとどうでもいい情報として引越しの時なんかにチラシや写真が捨てられてしまったりしますよね。」

「この年末に大掃除で出てきた資料を捨てずに、スミログで集めた方がいいですね!」

こうして話しながら、参加者もファンファン事務局メンバーもやっとデータで遊ぶことについて話せてきた実感を持ち、ディスカッションを終えることができました。

そして、成果展示「スミログオープンアーカイブ」へ!

実は、このディスカッション当日に、20年以上アーティストの作品制作に携わってきた方が保管していたチラシ類をたくさん持ってきてくださっていました。
ご本人の話では、チラシは分類しておらず、年代もバラバラ。でも、何かの資料になるかもしれないということで持ってきてくださったとのことでした。

スミログのキックオフトークとディスカッション全4回の成果をお見せする展覧会「スミログオープンアーカイブ」では、地域の方々からお借りした資料も展示します。
来場者の皆様とも楽しくアーカイブについて話したり、一緒に体験できますので、ぜひ足をお運びください!

成果展示「スミログオープンアーカイブ」
日程:2021年12月10日(金)〜12日(日)、17日(金)〜19日(日) 10:00〜17:00
場所:藝とスタジオ(東京都墨田区東向島5-23-3)
入場:無料・予約不要・入場制限あり(定員8名)
※11月22日変更。
※定員に達した場合は入場をお待ちいただく場合がございます。
※ 新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じて実施します。
※ご入場の際にはマスクの着用·手指の消毒·検温にご協力お願いいたします。
※会場は換気のため窓や扉を開けていることがあるため、暖かい服装でお越しください。
※社会状況の変化に応じて鑑賞方法に変更が生じる場合がございます。最新情報はFacebookページをご確認ください。

箱いっぱいにチラシが入っていて、興味津々!


text by ヨネザワエリカ、磯野玲奈

ディスカッション「あのイベントを語ろう」

第1回「2005年までのイベントを語ろう」
2021年8月14日(土) 15:00〜16:30
第2回「2010年までのイベントを語ろう」
2021年9月11日(土) 15:00〜16:30
第3回「2015年までのイベントを語ろう」
2021年10月16日(土) 15:00〜16:30
第4回「2020年までのイベントを語ろう」
2021年11月20日(土) 15:00〜16:30
場 所:第1回、第2回 Zoom / 第3回、第4回 藝とスタジオ(東京都墨田区東向島5-23-3)
定 員:各回10名 
参加料:無料