【ファンファン倶楽部第4期】シーズン2 – ②/③「自分の『もやもや』探し。マイクロ・ストーリーズ」

【ファンファン倶楽部第4期】シーズン2 – ②/③「自分の『もやもや』探し。マイクロ・ストーリーズ」

ファンファン倶楽部

「安心して”もやもや”しよう」を合言葉に、ファンファンのコンセプトを共有するコミュニティ『ファンファン倶楽部』。第4期の今回は、約半年の活動期間を3つのシーズンにわけて徐々に「もやもやを安全に扱う技術」を探っていきます。

今回は、シーズン2「自分のもやもや探し」の第2回目と第3回目の活動のレポートを合わせてお届けします。第2回目となる9月18日は台風が近づいていた影響で少人数だったため、いつもよりもゆったりとした雰囲気で開催しました。

アーティストのサトウアヤコさんが実践されてきた「マイクロ・ストーリーズ」は、自分の経験したことを思い返して、その時に起きたことや考えたこと思ったことを拾い直し、無数の更新可能な小さなストーリーを見出すワークショップです。今回は時間や内容をファンファン倶楽部向けに調整してくださったバージョンでやってみます。
9月18日と10月6日の活動ではサトウさんからのアドバイスをもとに部員達だけで引き続き「マイクロ・ストーリーズ」を用いてワークショップを行いました。前回のレポートはこちら

マイクロ・ストーリーズ 手順④「他者のマイクロ・ストーリー」を読み、フィードバックする

部員達は前回の活動時に書いた「エピソード・カード」の内容を膨らませたり、詳細を書き足したり、関連のあるエピソード・カードを組み合わせて、それぞれの今に至る小さな記憶や出来事の集積となる「マイクロ・ストーリー」を書き上げてきました。部員によっては用意されたA5用紙のフォーマットを何枚も使って1つのストーリーについて書き綴る人もいました。今回はお互いのマイクロ・ストーリーを読み、フィードバックし合うことで、自身の経験についてもう一度考えてみます。

サトウさんからの指示を元に、各人の他の部員がストーリーを読んで感じたことや気づいたこと、質問などを付箋に書いて貼る「フィードバックシート」を作りました。マイクロ・ストーリーとフィードバックシートをセットにして、隣の席の人に渡します。一巡すると、部員それぞれからのフィードバックが集まったシートが完成します。

マイクロ・ストーリーのフィードバックシートに、自分以外の部員のコメントが集まってきます
黙々とマイクロ・ストーリーを読み、フィードバックを書く

マイクロ・ストーリーズ 手順⑤他者のフィードバックにさらに応答する

戻ってきたフィードバックシートをじっくり見ると、質問やコメント、アドバイスなどがずらりと並んでいます。
それをもとに、次はフィードバックに応答するフェーズに入ります。質問に答えたり、フィードバックを読んで考えたことを話し、自分のマイクロ・ストーリーについて様々な角度から考えていきます。
質問を受けて、自分の中では当たり前になっていることについて考えたり、マイクロ・ストーリーには書いていないことを補足したりします。
例えば、ある部員がつづった自身の経験した選択肢の選び方ついてのマイクロ・ストーリーのフィードバックシートには「誰かと一緒に選択をするとき、どうしますか?」という質問がありました。その質問を取り上げて、本人が「選択する主体が複数の場合には、選択するための前提をお互いに共有して選択します」と回答があり、そこから選択についての話題に広がりました。
こうしてストーリーを対象化しながら話すことで、お互いが考えていることや興味のあることを少しずつ知るきっかけになったり、質問に受け答えしていくことでみんなで言葉をつむいでいく共同作業をしている感覚になることもありました。

フィードバックに応答し、自分のマイクロ・ストーリーズについてさらに話す
10月6日にも「マイクロ・ストーリーズ」へのフィードバックを行いました

部員からは「人への興味が高まり、思索に耽りたい気持ち。やっぱりいつももやもやでおわる。それがいいなとも思っている。」「自分らしい『人のもやもや』の受け止め方を考えた」といった感想がありました。
それぞれの頭や心の中をお散歩してお互いの興味を知ると同時に、ファンファン倶楽部のみんなが持ち寄る「もやもや」自体についても考え始めたタイミングでした。

ファンファン倶楽部で「マイクロ・ストーリーズ」をやってみて、事務局とサトウさんが考えたこと

ファンファン倶楽部で「マイクロ・ストーリーズ」を終えて、事務局とサトウさんで振り返り会を行いました。
サトウさんからは「それぞれのストーリーを聞いていると別々の話がリンクしたり、最初に話していたことに最後また戻ってきたりする瞬間が面白かったですね。でも、今回は自分のプレゼンテーションのような外向きの心の動きが少し強かったように思います。過去の『私』と過去を俯瞰する今の『私』との間に生じる内省的な心の動きに着目できるようなモードにする工夫が必要だったかもしれませんね。」とフィードバックがありました。
こうして振り返りながら事務局の私たちは、部員たちがワークショップに向き合う心の準備がしやすいように机の配置などを工夫して対話しやすい環境を整えたり、ワークショップの前後のコミュニケーションのあり方や雰囲気作りを考えていこうと改めて考えました。

ファンファン倶楽部は「もやもやを安全に扱う技術」を身につけていく空間です。その空間を作る事務局の私たちも、もやもやに気づき、その都度立ち止まって考えてみる。そして、正解はないけれど、より楽しく倶楽部活動ができるように試行錯誤を重ねています。

シーズン3に向けてディスカッション

さて、10月6日でシーズン2「自分の『もやもや』探し」も終わりになるので、この日の最後にシーズン3について話しをしました。
シーズン3のテーマは「共にファンファンする」です。これまで考えてきた自分自身の「もやもや」をいかに他の人と共有するか、そして、相手の「もやもや」をいかにきくかを探っていきます。そして、最後の2回の活動では、自分なりの「もやもやを安全に扱う技術」(ファンファン)を「やってみる時間」としてそれぞれ試してみる予定です。

「やってみる時間」はひとり何分にするか?ワークショップにするか?など、どんな風にやってみたいかを部員たちみんなで意見を出し合い考えました。

シーズン3のレポートで部員たちの実践をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

執筆:磯野玲奈(ファンファン事務局)