#06 黒石いずみ×萱村竜馬 文化が寄り添っていた場所:今和次郎とセツルメント運動
ラーニング・ラボ
1919年に墨田区で創立した興望館は福祉施設として保育事業を行ってきました。こうした地域の福祉課題に取り組む運動はセツルメント運動と呼ばれ、興望館だけでなく全国各地で活動が展開されました。いくつかの源流があるセツルメント運動ですが、墨田区に作られた帝大セツルメントハウスは今和次郎が設計し、当時の美術家がボランティア活動をしていた記録も残されています。制度が変わっていく中で姿を変えていったセツルメント運動ですが、その理念には人々がよりよく生きるために文化が必要不可欠であるということが感じ取れます。セツルメントとしてはじまり現在も形を変えて活動を続ける興望館で働かれながら、当時の保育日誌などの調査を行う萱村竜馬さん、今和次郎の活動からセツルメントハウスの文化的な側面を見出されている黒石いずみさんをゲストに迎え、福祉と表現の繋がりについて考えます。
ゲスト
黒石いずみ(青山学院大学総合文化政策学部教授)
萱村竜馬(社会福祉法人興望館事務局主任補)
黒石いずみ
青山学院大学総合文化政策学部教授、秋田県生まれ。一級建築士として建築デザインの仕事を行う。出産後家族で渡米し、ペンシルバニア大学で博士号を取得。以来今和次郎の研究を継続して各国で展覧会とWSを開催。そのほかに都市・建築のデザインや技術の社会史、生活文化資源によるまちづくり、小規模住宅の居間や台所に見るライフスタイルの比較研究を行う。フィールドとして、山形県の高校生との農村環境と食と祭りの研究や、東北大震災被災地の高齢者住宅や景観とコミュニティの調査、渋谷の生活調査、京都の陶芸職人の工房調査などを行なっている。
萱村竜馬
社会福祉法人興望館事務局主任補。東京都出身。青山学院大学を2000年に卒業。とび職などを経験しつつ社労士試験に合格。その後、島根県の法律事務所で勤務。2007年、100年前にセツルメントとして産声をあげた興望館に入職し、その後必要を感じ社会福祉士を取得。歴史資料室整備や後援会事務局、防災安全を担当する中で、学生ボランティアや保育園・学童クラブの保護者、近隣町会との協働に関わっている。
日時:2020年12月8日(火)19:00~21:00
ゲスト:黒石いずみ、萱村竜馬