【スミログ】成果展示「スミログオープンアーカイブ」レポート

【スミログ】成果展示「スミログオープンアーカイブ」レポート

スミログ

「スミログ」は墨田区で行われていた様々な文化活動を対象に、地域の文化活動のアーカイブをつくることを試みるプログラムです。記録集やアーカイブ映像、新聞やネットの記事に残るような明確で大きな出来事だけではなく、その周辺で発生していたイベント名もないような展示やワークショップ、パフォーマンスやパーティーなどのかすかな出来事の記憶も収集していきます。

成果展示「スミログオープンアーカイブ」

2021年度は、キックオフトーク「生き方がかたちになったまちはどう記録されるのか」と、ディスカッション「あのイベントを語ろう」(全4回)を通して、地域の文化活動のアーカイブから何が学べるのか、これからの活動をどのように残し、伝えていくことができるのかをゲストと参加者とともに考えてきました。2021年12月、その成果を発表する展示「スミログオープンアーカイブ」を藝とスタジオで開催。スミログの発起人ヨネザワエリカがこれまで継続的に集めてきた墨田区内の文化活動をまとめた年表やデータベースの他、「あのイベントを語ろう」の参加者が独自に集めたチラシなどを展示しました。そして、地域の文化活動のアーカイブについて一緒に考えていきたいと思う方が一人でも多く声をかけてくださることを目指しました。
このレポートでは、展示の様子や展示物についてご紹介します!

撮影:加藤甫

展示内容紹介「スミログ年表」

ここでは、スミログのデータの中から「墨東まち見世」や「39アート in 向島」といった、そのころの目印となる文化活動を年表にしてみました。
また、ヨネザワが個人的に保存してきたチラシやパンフレットも合わせて展示。
当時を知る来場者の方からは、チラシを見て「懐かしい〜!」や「そうそう、こんな流れだったよね」と振り返る様子が見られました。

展示内容紹介「登録イベント一覧」

インターネット上で確認できた情報や手元にある広報物を元に、ヨネザワが制作したデータベースです。スミログ年表にある文化活動はもちろん、イベントの一部として開催された小さなイベントまで掲載され、1800件を超えています。
実は、成果展示期間中に来場者の方からの情報提供をもとに、約2000件にまで増えました。

展示内容紹介「資料コーナー」

ディスカッション「あのイベントを語ろう」にご参加いただいた方々から段ボール1箱とファイル数冊、映像データなどの資料と、ファンファン事務局メンバーが保管していた資料を展示。来場者は腰をかけて、資料を手にとってじっくりとご覧になっていました。

ざっくばらんに保管されていた、お借りした資料はアーカイブ資料を年代別に分ける体験できるコーナーを設け、来場者と一緒に作業をしました。
実際に体験してみると、これまで全く知らなかったイベントのチラシや展示のパンフレットを見て、墨田で行われてきた文化活動を知る手がかりになりました。

展示内容紹介「ディスカッションコーナー」

2021年8月〜11月に開催したディスカッション「あのイベントを語ろう」では、アーカイブを「集める」「使う」アーカイブで「遊ぶ」ことをテーマに議論してきました。
机の上に並べられたカードにはそこで交わされた意見が書かれています。
また、展示会場を訪れた方にもご意見をメモ用紙に書いて議論に参加していただきました。

撮影:加藤甫
撮影:加藤甫

スミログはこれからも続けていきます!

墨田でアートを見てこられた方は90年代の様子の情報をメモ用紙に書いてくださいました。また社会学の研究者の方からは「客観性の乏しさを補完するだけの網羅性を持つデータになっている。研究者では集めることのできないデータになっている」とコメントをくださいました。
本展示がファンファンの新拠点で初のオープンイベントだったこともあり、近隣の方々にファンファンの活動をお見せできる機会にもなりました。
来場者の中には、今回のようにオープンスタジオ形式でアーカイブを閲覧したいという方も。大変嬉しかったです。ファンファン事務局では来年度(令和4年度)もスミログを継続する予定で、オープンスタジオなども計画し始めています!開催情報が決まり次第、ファンファンのFacebookでお知らせします。

text by 磯野玲奈

イベント概要

スミログ「成果展示」
場所:藝とスタジオ(東京都墨田区東向島5-23-3)
日時:2021年12月10日(金)〜12日(日)、17日(金)〜19日(日) 10:00〜17:00